警視庁が近未来通信に家宅捜索に入り、投資家救済に向けた動きが始まった。これまでは、脱税や契約者保護の観点からの捜査だったので、これで全容究明に向けた対応が始まったことになる。
3000人の被害総額は400億円に上るとみられている。通販商品の広告に出資すれば高配当が得られるといって340億円を集めた2002年のジー・オーグループの詐欺事件、純金製品を購入すれば高額配当が受けられとして350億円を集めた1997年の経済革命倶楽部の詐欺事件を上回る巨額詐欺事件になる可能性が濃厚で、今後は被害に遭った投資家と弁護団が、どれだけ投資を取り戻せるかということが焦点だ。
組織的犯罪による被害者を民事的手法で救うことが困難である場合、犯罪者の得た収益を国が没収・追徴できる改正組織犯罪処罰法が施行されており、初の適用事例になると見られているが、どの程度の被害者救済が行われるのだろうか。

■通信による売り上げはわずか2%弱
上記が総務省にようやく提出された近未来通信からの報告書だ。
先日、ご紹介したA4で7枚の報告書には空白が多いといい、報告内容も不十分だという。ちなみに、この報告書は社員が持参したのではなく、バイク便で届いたという。年間売上高は昨年のもので総務省が求めていた今年の分はまだ提出されていない。
内容を見ると分かるように、売上げの63%がサーバ売り上げとなっており、これが投資家から集めた分に当たる。
高配当に回す分は1.7%の通信料売上高(ほとんどがプリペイドカードの売り上げだそうだ)であり、詐欺に遭われた可能性のある3000人で単純に割ると10万円。月額8364円。パンフレットではフル稼働の場合、月額80万~100万円とうたっていたそうだが百分の一以下の配当原資しかなかったことになる。
人件費やら運営コスト、家賃などをさっ引くと、サーバ売り上げに手を付けなければ不可能であることは、この資料のみでも容易に想像がつく。自転車操業で破綻は確信犯的だったと見られる。
その他売り上げというのは、テレビ電話機器などの売り上げだそうだ。
■ソフトが組み込まれていないサーバも
国内外112箇所に設置されていると報告されていたサーバは計2466台で、そのうち稼働していたのはわずか7台。残る多くはソフトウェアさえインストールされいなかったという。さきほどNHKでやっていた映像では、電源すら入っていなかった。
総務省は7台しか稼働していない理由について「ITは技術革新が著しいために、回線借りをするほうが効率的だった」という説明を受けたそうだ。無論、納得はしていない様子だった。
こうした非紳士的な事業者が出ると、国による規制強化を求める声も出そうだが、所管する総務省は平成16年から、通信事業者を登録・届出制に変更しており、基本的には利用者が不利益を受けなければ動かない体制。しかも、1万4000社に迫る事業者の財務状況などの詳細は把握していない。
通信事業者の破綻は珍しいが、総務省幹部の1人は「当然、(近未来通信や平成電電の)予備軍はいるのではないか」と認識している。今回のメーンの被害者は投資家だが、利用者も自己防衛のためにリテラシーを上げなければならないが、通信事業者選び、サービスの選択は非常に難しいのが現状だ。
選択肢の幅は広がったが、どうやって選ぶのか。しかも、嘘つきがいるとしたら…。規制緩和による消費者メリットも分かるが、通信は命にかかわりかねない重要なインフラだ。自由にはそれ相応のリスクも伴うことは分かっているが、それでいいのだろうか、という疑問はやはり残る。


by iza777
不況下の物価上昇